受験期には子どもが多くのプレッシャーや不安を抱えがちです。勉強の進捗や結果だけでなく、心の状態にも気を配ることが、親としての重要なサポートとなります。そのために大切なのが、子どもとの「コミュニケーション」です。親子間での円滑な会話は、子どもの心のケアだけでなく、モチベーションを維持し、学習に集中する力を引き出すためにも必要不可欠です。
まず、受験期には、子どもが自分の気持ちを素直に話せるような「信頼関係」を築くことが重要です。特に中学生や高校生になると、親に対して反発することも多くなるかもしれませんが、それでも子どもの話に耳を傾け、否定せずに受け止める姿勢が大切です。日頃から小さなことでも子どもの意見や気持ちを聞くことで、自然と親子の間に安心感が生まれ、重要な時期である受験期においても、親に悩みを打ち明けやすい環境が整います。
具体的なコミュニケーションの方法として、まずは「オープンな質問」をすることが効果的です。たとえば「今日の勉強、どんな感じだった？」や「今、どの科目が一番難しく感じる？」といった質問は、子どもが勉強に対する感じ方を自由に話しやすくなります。逆に「どうしてまだ勉強していないの？」や「結果はいつもこれだけ？」という否定的な質問は、子どもがプレッシャーを感じやすく、対話の機会を失う原因となります。
また、親がアドバイスをする場面では、指示口調や強制的な言い方を避け、共感を示しながら提案するのがポイントです。例えば「この方法はどうかな？」「もしこういう風にやってみたら、もっと楽になるかもね」という風に、親が解決策を押し付けるのではなく、選択肢を提示する形で助言します。子どもが自分で考えて行動する余地を与えることで、主体的に学習に取り組む意欲が引き出されます。
さらに、子どもの努力を認めることも、コミュニケーションの一環として大切です。勉強の成果がすぐには見えなくても、努力している姿勢や小さな進歩をしっかりと褒めてあげることが重要です。たとえば、「最近よく頑張ってるね」と声をかけたり、「あの苦手だった問題、ちゃんと解けるようになったね」と具体的に褒めたりすることで、子どもの自信がつきます。親が見守っていてくれるという安心感は、受験勉強のモチベーション維持に大きな力を与えます。
もちろん、コミュニケーションは一方通行ではなく、子どもが何を感じているのかをしっかりと聞く姿勢が大事です。子どもが不安や悩みを打ち明けたときは、まずそれを受け止め、「そうなんだね」と共感することが第一歩です。次に、「どうしてそう感じるの？」と深掘りし、解決策を一緒に考えることで、親子の信頼関係が深まります。
加えて、親が受験生のストレスや不安に気付くことも重要です。子どもが言葉にしなくても、表情や態度、生活リズムの変化から、ストレスを感じているかどうかを察知することができます。例えば、勉強中にいつもよりイライラしている、夜眠れない様子が続くといった変化が見られたら、無理に「勉強しなさい」と追い込むのではなく、少し休憩を促し、気持ちの整理ができるようにフォローしてあげましょう。
受験期には、親が焦る気持ちも理解できますが、親自身が冷静でいることが何よりも大切です。親が過度にプレッシャーをかけると、子どもはその期待に応えなければとストレスを抱え込んでしまいます。逆に、親が落ち着いていて安心感を与えれば、子どもも安定した心で受験に挑むことができます。時には、「大丈夫、今のままで十分よくやっているよ」と、励ましの言葉をかけてあげることで、子どもが安心し、学習に集中できる環境を作ることができます。
最後に、子どもとのコミュニケーションは、勉強の内容に限りません。日常生活や趣味、将来の夢など、様々な話題で話すことで、子どもとの信頼関係が深まり、勉強の話も自然としやすくなります。親子の対話を通じて、子どもがプレッシャーを感じすぎず、受験勉強に前向きに取り組むことができるよう、日頃からコミュニケーションを大切にしていきましょう。
